「規制緩和の哲学」

○宇佐美委員

  さきがけ・青雲・民主の風の宇佐美登でございます。

 本日は、二十分という限られた時間ですので、規制緩和の基本的な取り組み姿勢や抜本的な規制緩和のための施策等を質問をさせていただきたく思います。

さて、規制緩和が必要であると言われて久しいわけです。先ほど吉岡先生のお話の中でも、もう十数年余りやっているというお話がありました。ただ、細川連立政権ができると同時にさらに規制緩和という声は強くなり、経済改革を実行するために掲げていたものであり、細川前総理の政治理念の一つであったと思い、非常に残念だったなという思いがあるわけです。また、これはクリントン大統領の日米貿易障壁解消要求にこたえるアクションプログラムや景気対策の一つととらえられているわけですけれども、実態はもっと根の深いテーマであるわけです。

 釈迦に説法になるかもしれませんけれども、日本経済は高度成長を遂げた後の転換期にあり、新たな発展のためにさまざまな経済規制の功罪が問われ始めてきているわけです。人的物的資源を最も効率的に運用するためと言われ、日本のある意味で社会主義的経済規制は、産業の効率的育成に貢献してきたわけです。しかしながら、日本経済をマクロに見てみますと、世界規模の中では、まだ小さい間は国内事情のみを視野として活動してもさしたる矛盾はなかったわけですけれども、今や日本は米国、EU、日本を軸とした三大経済集団にまで成長し、すべての指標が世界の視点でチェックされるようになったわけです。

 一方、これらの対外的な要因のほかにも、日本経済の内的行き詰まりも問われるようになってきております。情報化時代と先ほど大臣の方からお話もあったように、情報化時代の進展によって、これまでの我々が考えてきた社会システムよりも一歩も二歩も進んだシステムというものが生まれる中で、官僚による産業の管理監督というものが、効率という価値には十分機能してきたわけですけれども、新たなる情報化時代にとって、二十一世紀の主役になるであろうと考えられる創造的ビジネスにはむしろ弊害であるということがささやかれているわけです。行政指導という法律以上の権威が法治国家に存在する矛盾に、多くの日本人が気づき始めてきたわけです。先ほど長官のお話にもあったとおりだと思います。

 片や米国には、法律に反しなければ何でもできると、子供の年ごろから文字どおり機会の均等というものが定着してきているわけです。この自由の精神を求めて、今聞くところによりますと、日本の若者六千八百人が過去三年間にグリーンカードを取得し、米国に渡っている現状があるわけです。自由の乏しい日本の規制社会のあり方の本質が問われていると言っても間違いないのではないでしょうか。また、日本に来る海外からの若い実業家が最初に驚くことは、新規事業を日本では大企業が行っているということです。日本にいると我々余り気がつきませんけれども、日本の業界は海外企業にとって排他的と言われておりますが、実は日本の新参者にとっても極めて排他的であるわけです。

 さらに、規制とかかわりの強い官僚システムというものが、許認可を通じて業界をコントロールすることができる魅力というものは、各省庁にとっては捨てがたいように見えます。天下りによる地位や、またその後の退職金等を含めた収入の保証というものは、この六月になって就職戦線が始まったわけですが、その中でも学生が入省するときのキャッチフレーズにさえなっている現実があるわけです。
規制緩和という問題が官僚自身の利権とのかかわりが大きく、必然的に官僚だけには任せてはいけないテーマであるという認識が、今日本じゅうに広がっていると言って差し支えないと思います。

 これらのような前提条件のもと、重複のある質問かと思いますけれども、規制緩和の定義と考え方というものを長官からお伺いできればと思います。

○石田国務大臣

 規制緩和の定義というような大変学問的な設定かと思うのでございます。

 後ほど管理局長からも答弁をさせるわけでございますが、今宇佐美先生がいろいろ幅広く意見を開陳されたわけでございますけれども、長い間の私たち日本の経済社会というのは、やはり基本的に欧米に追いつけ追い越せというようなことで、産業を育成していかなければならないという大方針、その上でそれがより効率的になるようにというようなことで行政も推進をしてきた。私は、それはそれなりに大きな効果があったというふうに思うわけでございます。しかし、今経済が転換をしなければならない、経済構造そのものを変えていかなければならないということで、今この規制緩和の問題が大いに論じられているというふうに思うわけでございます。

 そういうわけで、その公的な規制というのは、一般的に民間活動に対して公的な部門が公益性とかあるいは政策目的、そういうような必要性をもって直接介入をしてきたわけでございます。その成果については、評価される面とまた厳しくチェックされる面と、両面があるというふうに思うわけでございます。

 また、今お話ありました許認可等の手段、これは公的規制の代表的なやり方でございまして、そのことによって日本経済、行政が一体感を持って今日やってきたと、うふうに思うわけでございまして、これらの問題を十分に検討して、活性化ができる新しい経済体制をつくる必要がある、そういうことが規制緩和の一つの大きな目的であろうというふうに思うわけでございます。

 また、今も御指摘がございましたけれども、規制緩和の定義の中には、当然これは民間側からの問題提起、また改善要求、そういったものが大きな軸にならなければならないし、またそれを、今までの法律事項を見直してその要望にこたえていかなければならない、こういった観点であろうと思うのでございます。

 なお、管理局長からも答弁をさせていただきたいと存じます

○八木政府委員

 お尋ねの、規制緩和の全体的な姿はどうか、こういうことでございます。

 現状の国家運営に当たります制定法、これは千六百二十本ほどございますが、そのうちで約五百本が規制関係の制度を定めたものでございます。それぞれ政策目的、制度目的を背景とするものでございまして、規制緩和の問題は、結局のところそうした各分野の制定法のその政策的な需要、制度的な意味合いを一つ一つ点検するというところから入っていくべきものと考えている次第でございます。

 この二月十五日に取りまとめましたいわゆる中期行革大綱におきましては、昨年の細川内閣発足以来の一連の取り組み 九月十六日の九十四項目を初めといたしまして総体の取り組みをとりあえず第一次分としてまとめたものでございまして、これは千五百九十一件の規制緩和項目を出しているものでございます。これがいわば第一次分でございますが、現状におきましては、この六月末をめどにいたしまして、重点四分野、各政策内容の綿密な吟味を行いまして、民間有識者の方々の御参加もいただきました閣僚レベルの取り組みにおきまして、重点的な取り組みの方向を目下立案中でございまして、その最終段階に現在入っているわけでございます。

 引き続きまして、全行政分野における総点検の結果を年度内、でき得れば年内に規制緩和五カ年計画として取りまとめたいと考えているわけでございまして、先ほど御指摘の、可能な限り民間部門における自由な発想を最大限に生かす新しい経済社会のあり方を求めっつ、こうした立案活動に入ってまいりたい、そう考えている次第でございます。

○宇佐美委員

 規制緩和の方向についてお答えいただきまして、ありがとうございます。

 ただ、規制緩和を行うときに大事になるのは、その基準というものがどこにあるかということです。尊敬する小沢一郎新生党代表幹事の本によれば、グランドキャニオンにおいて金網がなくて、まさにアット・ユア・オウン・リスクだ。つまり、自分の責任でそこで楽しむことができるんだ、そんなことをおっしゃっていますけれども、実はグランドキャニオンにはちゃんと乗り越えられる程度の金網があるわけで、行かれた方は御存じかと思うのですけれども、そんなような意味で、高いか低いかの、グランドキャニオンで言えば金網を越えられるかどうか、または全くない状態で原則自由、例外規制というような基準があるかと思いますけれども、一体それでは例外規制と言ったとき、もしくは規制緩和の基準というものが何であるか、総務庁の考え方を教えてください。

○八木政府委員

 お答え申し上げます。

 規制緩和をいかなる考え方、基準によって進めるかにつきましては、昨年十月の行革審の最終答申におきまして三点ほどの基準が出されております。一つは、社会経済情勢の変化、技術革新の進展等によりその政策的必要性が失われた規制は廃止をする。第二点は、原則自由、例外規制の立場から、規制は最小限にする。そして、なかんずく競争的産業においては、原則として需給調整の視点からの参入規制は行わない。第三点は、できるだけ市場原理を活用し、供給構造の変革を促進する、こういう考え方が出されているわけでございます。これが一つでございます。

 もう一つは、同じく昨年十一月の経済改革研究会の報告でございます。委員若干お触れいただきました経済的規制は原則自由、例外規制を基本とする。需給調整的観点から行われている参入規制、価格規制等については早急に廃止するということでございます。また、社会的規制は、安全、健康の確保、環境の保全、災害の防除等、本来の政策目的に沿った最小限の規制とすること、この考え方が提示されているところでございます。

 さらに、昨今の内外環境のもとにおきましては、アメリカあるいはまたEU等からも、日本の市場が開かれたものでなければならない、日本社会が真に国際化された、開放された社会でなければならないという観点からさまざまな要望、意見が寄せられていることも事実でございまして、この点からいたしますと、私どもの今回進めております取り組みは、原則極力内外無差別ということが一つの大きな視点になるのではなかろうかと考えている次第でございます。

 以上、申し上げましたようなさまざまな御提言をいただきながら、総体としての政府の規制緩和計画は、市民のニーズにこたえつつ、日本の社会を極力開かれたものにしていくという考え方のもとに総合的に立案されなければならない、そう考えている次第でございます。

○宇佐美委員

 今の御答弁を聞いておりますと、ああ力強いなというのが率直な気持ちなんですけれども、さて、現実に世間に戻りますと、本当に規制緩和やれるのか、そんな質問が我々政治家のもとに届くわけですけれども、何よりも、先ほど前段で申しましたように、続いて、規制緩和、法律だけではない、行政指導の面が非常に重要になってくると思います。

 昨年の行政手続法では、行政指導等について一定のルールを決められたわけで、本年の十月一日より施行されるわけですけれども、政府におかれましては、例えば行政指導、通達などを行う前に、そのような議論というもの、どういう基準で通達を出すのか。というのは、通達をもらってから、ああこれはやっちゃだめなんだということで各企業なり各個人はなるわけです。そうではなくて、じゃその通達を出す前に、それを利害関係者の中で議論を行ってそのバランスの中で、こちらが大事である、この通達が必要であるといったときに行政指導を使うべきではないか、そんなふうに考えているわけです。

 さらに透明化する必要があると思うわけですが、法律を施行する前に、例えば先ほど申しました利害関係者による公聴会等を開くことを考えていらっしゃるのか、また、その方向性について教えていただければと思います。

○八木政府委員

 今回、行政手続法を十月一日に施行するということで昨年の十一月に国会で御承認をいただいたわけでございまして、目下その施行準備に懸命になっているところでございますが、その中におきましては、日本の行政におきましては初めて、行政指導というものについて法的な枠組みを一つ設けたということでございます。御承知のとおりでございますが、この行政指導というものはあくまでも法律の範囲内において行われなければならない。そしてまた、この要求があれば書面で御提示を申し上げる必要がある。公正、透明な行政運営の一環としての行政指導というものの位置づけを明確にしたところでございまして、この法律の趣旨をどのように着実に、忠実に、また実施に移すかということが私どもの大きな課題でございます。

 御意見の一つは、行政指導のあり方につきまして公聴会といった御提言でございますが、現状の行政運営を申し上げますと重要な法律の運営方針につきましては、必要に応じまして各省、各分野における審議会、二百強の各省の審議会等におきましてこれを御説明申し上げ、御検討をいただきながら進めていく、そのもとにおきまして政省令等が立案されるというやり方もございます。

 いずれにいたしましても、各法律につきましては、一般の市民社会の広い意味での御理解をいただきながら運営をしてしかなければならないことでございますので、法律の施行につきましては、そうした配慮は十分に今後とも進めていかなければならないと考えておるところでございますが、その具体的なやり方につきましては、これは個別のケースに応じましていろいろと工夫をさせていただきたいと考えているところでございます。

○石田国務大臣

 要はこの行政手続法のあり方、一般の国民の皆さんにどう徹底するかという問題であろうかと思いますので、例えば、総務庁としましては全国に約五千人の行政相談員がおるわけでございまして、その方々に今御説明をし、勉強していただいている。あるいは、それぞれの行政監察の局が各県ごとにあるわけでございますので、そこで勉強会をやっておりますが、かなり一般の方々の反応がいいというような報告も聞いております。何百人の方が集まってこの行政手続法の勉強をしていただいておる、こういう報告も聞いておりますので、そういったことを活用しながら徹底を図ってまいりたいと思います。

○宇佐美委員

 長官がお答えになられましたように、評判はそこそこいいと私も聞しておりますけれども、もちろん行政手続法がないよりはそれはいいということでありまして、さらなる行政指導の透明化というものに御努力いただければと思います。

 この委員会に付託されているわけではないのですけれども、できたら連合審査もという意見のある行政改革委員会設置法についての御質問も、お許しをいただきましたので、させていただきたいと思います。

 我々さきがけ・青雲・民主の風では、この名称の修正から考えておりまして、行政改革を監視するわけですから監視という言葉を入れまして、行政改革監視委員会とすべきであると考え、内閣委員会におきましてもこれから修正を御提案させていただければと考えているわけですが、その中におきまして、第二条第一項目、「許可、認可等行政の各般にわたる民間活動に係る規制の改善の推進に関する事項」というのがございます。私のあさはかな考えなのかもしれませんけれども、この「民間活動に係る」というところは、もしかしたらなくてもいいのではないか。つまり、「許可、認可等行政の各般にわたる規制の改善の推進に関する事項」とした方がすっきりしていてわかりやすいのかなと思うわけですけれども、ここの法案の中で定義している民間活動とは一体何なのか、規制緩和というものをある意味で狭めた考え方をしているのか、そんな危惧がありますので、答えていただければと思います。

○八木政府委員

 私ども、規制行政あるいはまた規制緩和問題の範囲としてとらえておりますのは、行政庁と民間との関係、市民社会あるいはまた企業との関係ということでございます。国の行政機関相互間の問題につきましては、これはいわば行政事務運営の合理化の問題かなと考えておりまして、行政と民間とのかかわり合いを総体として点検し、これを改めていくことが規制行政の改善、規制緩和ではなかろうか、そんなふうに位置づけている次第でございまして、一言で規制行政が現在許認可件数一万一千四百二件と申しておりますのも、すべてこれは行政庁と民間との関係でございます。

 そういう分類を立てて仕事をやっている次第でございまして、国の行政機関相互間の問題が全く問題がないとは申し上げませんけれども、それはそれとして、行政事務運営方式の合理化の問題として別途の取り組みで進めさせていただいているところでございます。

○宇佐美委員

 そういう考え方をなさっていたから、我が委員長である加藤卓二先生の方から、行政と民間だけではなくて、例えばNTT法やKDD法などにかかわる規制というものもあるのではないか、そんな御提案があったのではないかと私は推察しているわけです。

 時間もなくなりましたので、質問の方はこれで終わらせていただきたいと思いますけれども、何よりも問題になっているのは、以前聞いたお話ですけれども、例えば今議員の多くの方が、または皆さんも携帯電話をたくさん持っているかと思いますけれども、携帯電話に電源を入れてみますとすぐ電池がなくなってしまう。その点、ポケットベルというものは長く電池がもちます。合わせて使ってみたらどうだろうと考える発明家の方も多いかと思いますけれども、そのときにまず最初に考えるのは、恐らく規制があるのではないか、なかったらできているだろうと考えるわけです。つまり、発想が一つあったとしても、その前に調べていくと大体のものが規制というものに、法律というものにぶつかってしまう、そんな認識が世間一般に広がっているわけです。ところが、実際には携帯電話とポケベルをワンセットにしたものを開発しようとすれば、それは規制にはひっかからないものだと聞いております。つまり、何かをやろうとするときに、どうせ規制にひっかかるんだ、無理だよ、そんなことを考えさせてしまうこの枠組みというものを変えていくのが規制緩和の根本であると考えており、まさに自由な社会というものをつくるために必要なものだと思います。

 先ほど申しました行政改革委員会設置法の修正を羽田政権の、行政改革政権のその位置づけとして我々さきがけ・青雲・民主の風が応援していければと思っておりますので、ぜひともその修正に関しましても、総務庁長官を初めとして皆様の御賛同をいただければと思います。

 どうもありがとうございました。