「官庁の情報隠しを許すな」
○宇佐美委員
新党さきがけの宇佐美登です。
二十分という短い時間ですので、てきぱきと質問させていただき、お答えをいただければと思います。
行政改革の中で何よりも大事だと言われるものの一つが、行政情報の公開だと考えております。
情報公開法の審議、現在行政改革委員会で熱心に御議論いただいているかと思っておりますけれども、今回与党が三党合意というもので、一月初旬橋本政権をつくる際に、八年中のできる限り早い時期に情報公開法の要綱というのですか、出していただくようにというような合意をさせていただいたわけですけれども、これに関して、現在どのような進捗状況なのかということと、総理大臣が諮問している審議会でありますから、総理の方からできる限り早くするようにというような要望、要請が行革委員会の方にあったのかどうか、この二点について教えていただきたいと思います。
○田中(一)政府委員
前段の話でございますが、行政改革委員会は、昨年三月に発足いたしまして、既に部会としては三十一回、実は法律の要綱案をつくるということで小委員会を設けておりますが、これを七回開いておりまして、毎週長時間、少なくとも三時間以上の審議をいただいております。日によりますと、昼から深夜に至るまでの御議論もいただいた場合もございます。
今後の予定でございますが、できるだけ早く最終報告の提出を目指しまして、現在のところ、四月中には中間報告を出しまして、各界の御意見を伺いたいと思っておりますし、それを踏まえまして、十月には最終報告を提出するべく、精力的な調査審議を進めていただいておるところでございます。
後段の話でございますが、ことしの一月八日に決定されましたいわゆる三党合意につきましては、直ちに事務局から部会に対して御説明しております。部会におかれましては、このような与党の御要請を十分承知の上で、先ほど御説明申し上げたとおりの御熱心な御検討をいただいておる、こういうふうに御理解いただきたいと存じます。
○宇佐美委員
たしか十二月十八日、二年以内に要綱というものをつくるというのが行政改革委員会設置法で決められたものだと思っております。それよりもできる限り早い時期に出していただくように、この場をかりて要望させていただきたいと思います。
同時に、行政情報の公開を議論している行政改革委員会が、その審議の内容というものが十分に公表されているかどうかということが今問題になっているかと思います。
パソコン通信を通じまして、速報というような形ですぐに、きょうどんなような審議をやったかというのが出ているわけなのですけれども、実は、内容的に言いますと、ペら一枚かべら二枚のものしかございません。私もつい先日、どういうようなものをやっているのか、ニフテイサーブを通じてパソコン通信にアクセスしてみましたけれども、実際どんな議論がされているのか、その詳細、要旨というようなことで書いてあったのですけれども、わかりません。
無記名で、委員の名前を出すことは控えても結構かと思います、少なくとも議事録というものが公開されて、これから行政情報の公開がされていくんだ、その内容についてこういう議論がされているんだというものが公開されていなければ、委員会そのもののあり方について疑問がわいてくること、これは否定をし得ないと思います。その点について、田中事務局長いかがでしょう。
○田中(一)政府委員
行革委員会といたしましては、この情報公開部会に限らず、規制緩和の小委員会におきましてもそうでございますが、今、宇佐美委員お話しのように、極力、国民に審議の状況を御理解いただくように努力してきておるつもりでございます。
今おっしゃるように、氏名を出さないで議事録を出したらどうかというお話でございますが、数時間にわたる御論議、行ったり来たりする議論をそういうふうにすることも一つの方法かと存じますけれども、私どもは、無記名でどういう議論があったかというのも実は項目ごとに整理して、相当膨大なものでございますが、既にオープンにしております。毎回毎回のものにつきましても、議論の中枢的な、中心的な話については書いておるつもりでございますけれども、なお御趣旨は十分しんしゃくしながら努力をしたいと思っております。
先ほど申し上げましたように、この一月十二日も検討方針を、途中のものでございますけれども、オープンにしたり、あるいは中間報告を四月にやろうとするのもその一環と御理解いただきたいと存じます。
○宇佐美委員
今、田中事務局長から話がありました、一月十二日に情報公開法についての検討方針というものが出されております。中間報告としてというか、これからどういうふうな議論をするかということが出されたことは非常に評価されるべきだと思います。
ただ、その中でどうしてもこれは問題だなという点があります。その点についても触れさせていただきたいと思います。
まず、今回の情報公開法、この前の予算委員会でも総務庁長官にお尋ねをさせていただきましたけれども、国民の知る権利というものが保障されるかどうか、これが情報公開法の成立に対して意欲的に取り組まれている皆さんから注視されている点でございます。裁判の中でももう既に国民の知る権利というものが言葉として出されているわけでございますから、この国民の知る権利というものを今回の情報公開法の中でぜひとも書いていただきたい、そのように要望をさせていただくわけでございます。
実際のこの検討方針の中での問題点で時間のある範囲でお尋ねをさせていただければ、三番の「対象機関」として、「行政機関は、すべて本法の対象とすることを原則とする。」当たり前であります。二番目「特殊法人等についても、情報公開を進めるべきものと考えるが、本法を直接適用することはしない。」というふうに明確に言い切ってしまっているわけであります。
九十二の特殊法人について、昨年、村山政権のもとで幾つもの統廃合があったわけですけれども、まだまだ、百メートルがゴールだといえば一メートル進んだ程度の進展しかなかったと、当時与党の行革プロジェクトの中で議論をさせていただいた一員として責任を感じるとともに、まだまだやり抜かなければならない特殊法人の改革があるかと思います。
そんな中で、特殊法人のディスクロージャーについても与党の中で、塩川正十郎、自民党の現在の総務会長を座長としまして、私もさきがけの座長として参加をさせていただきまして、その経理に関しましては平成八年度から、九月三十日までに出していただくということでまとまったわけでございます。それでもやはり、日々何をやっているのか、どのような経理なのかというものの情報公開は間違いなく必要なものだと考えます。
もちろん、その中にはNTTやJRというような、民間機関と言ってもいいような、商法上の会社になっているところもあるわけですけれども、原則として特殊法人をこの情報公開法の中に入れるといった考え方、商法等での問題点がある場合には例外として考えるというのが行政の情報の公開として必要なことであり、特殊法人が、行政が直接タッチできないけれどもいわば行政の身がわりとしてやっているという仕事の目的上から考えても、情報公開の対象機関とすべきだと私は考えております。
このような検討方針になったいきさつというものを、田中事務局長の方から教えていただきたいと思います。
○田中(一)政府委員
御指摘のとおり、特殊法人にはさまざまなものがございます。行政改革委員会設置法二条二項に、行政改革委員会は、行政機関の保有する情報を公開するための法律の制定等の事項を調査審議する、こういうふうになっておりまして、今委員御指摘のとおり、情報公開法の対象といたしまして、行政機関に加えまして独立の法人格を持つ特殊法人や、政府と関係があるその他の法人を含めるかどうかということについて、部会でも相当御議論ございました。
既にオープンにしておりますが、若干御紹介しますと、特殊法人とか認可法人、指定法人、行政の代行的な公益法人は国の作用の一部として業務を行っておるのであるから国と同じに見ていくべきではないか、こういう御議論、あるいは、しかしながら、特殊法人でも行政の一端を担っておるものは許認可等によりまして行政庁に文書が既に出されておる、したがって行政庁から情報を入手すればいいのではないか、こういう御議論、あるいは、特殊法人については努力義務を定めることが一つの解決策としてあるのではないか等々、この問題をめぐってはかなりの御議論ございました。
今仰せのとおりに、検討方針では、情報公開を進めるべきものとは特殊法人等についても考えますけれども直接適用することはしない、一応小委員会の検討方針としてそういうことを示しまして御議論いただいておるわけですが、今の御議論あるいは今までの議論も踏まえまして、さらに検討が進められると思っております。
どういう結末になるかというのは、もう少し御議論を待つ必要があると思っております。
○宇佐美委員
四月に中間報告がなされるわけですから、その中間報告がまた議論のたたき台になるよう期待をするわけですけれども、こういうような審議会の議論というのは、時に中間報告から語尾だけ変わった形で最終答申になる場合もあります。この情報公開法に関しては、非常に熱心な御議論を常々されていることを承っておりますので、そんなことはないかと思いますけれども、本日申し上げたような考え方も強く存在するんだということを御認識いただきたいと思っております。
この情報公開法の中で、例えばそれでは情報公開法として提示されてないもの、行政の救済制度というものも議論をされているわけであります。その中で、最終的に司法による、裁判所による救済制度というもの、これは出すべきか出さないべきかというような中で、インカメラ審理というものがございます。
後ほど質問する民事訴訟法の中でも、このインカメラというものを大事に議論させていただきたいので御説明申し上げれば、情報公開、必要だという方とこれは出せないという方が行政と民間で存在をしたときに、それでは裁判所が、裁判官が見て、それは出すべきか出さないべきかということを判断しようと、簡単に言うとそんなようなことがインカメラ審理というものであります。
これに関しまして、この検討方針によりますと、「インカメラ審理等の特別の審理手続は設けないこととし、それに代わる有効な手段の導入の可能性について検討する。」というふうに書かれているわけであります。インカメラを直ちに否定するわけではない。しかしながら、この「有効な手段の導入」というのがどういうものなのか、本当に有効に働くかどうかというものが大事になってくるわけでありますけれども、この「有効な手段の導入」というもの、具体的には、まあ幾つもあると思います。
はっきりとお話しすることもできないものもあるかもしれませんけれども、私は、インカメラ審理というものが、三権分立の中で司法の役割の一つとして間違いなく存在するんだという理解のもと、インカメラ審理を直ちに否定することなく、これを導入するような方針の中で検討していただきたいという要望と、あわせて「有効な手段の導入」というもののその可能性、内容について教えていただきたいと思います。田中事務局長、お願いします。
○田中(一)政府委員
今お話しのように、情報公開訴訟におけるインカメラ審理の要否というのは、本当にさまざまな御意見がございます。部会におきましては、憲法八十二条、これは裁判の公開を決めておりますが、あるいは三十二条、裁判を受ける権利、この八十二条、三十二条との関係とか、情報公開条例におきます訴訟の実情、諸外国における訴訟の状況等を十分検討いたしました上で、先ほどお話のあるような検討方針を決めたところでございます。
かわる方法、「それに代わる有効な手段」というのは何かということでございますが、いろいろな方法が議論されております。今お話にもございましたように、具体的にここで申し上げることはちょっといろいろ問題があると思いますので、差し控えさせていただきたいと思います。
○宇佐美委員
ぜひともインカメラ審理というものを導入していただくよう重ねて要望させていただきたいと思います。
情報公開に関しまして、次に法務省さんの方に質問をさせていただきたいと思います。
というのも、この三月の十二日ですか、民事訴訟法改正についての閣議決定がされたわけでございます。民事訴訟法は、明治二十三年に基本的に枠組みが決められた法律でありまして、その後大正十年、約七十年前に大幅に改正がされて、それ以降本当の意味での改正というものはされてこなかった法律であります。片仮名と漢字が組み合わせられた法律で、私も高校時代、六法を勉強したときに非常に読みにくかった覚えがあります。
その民事訴訟法の改正で、非常に進歩的な部分もあるわけですけれども、ちょっとこれはといった部分があります。それが情報公開に非常に密接に関連しております。
提出されているということで、民事訴訟法を改正しようとしているものの、二百二十条の四号に文書提出義務の規定がございます。その中では「次に掲げるもののいずれにも該当しないとき。」には文書提出義務があると言われているわけですけれども、二百二十条四号口「公務員の職務上の秘密に関する文書でその提出について当該監督官庁が承認をしないもの」というふうに書かれているわけであります。
この条項を、もしも、法務委員会で議論がされるかと思いますけれども、この条項の中で拝見をしていきますと、公務員の方から、監督官庁の方からこの文書は提出できませんよと、不利だと思った瞬間に出てこないのじゃないか、そんな疑いがあるわけであります。
法務省の方に、例えばで恐縮ですけれども、HIV問題で、これまで確認できないと言われていたファイルが出てきました。これについて、今の前段の私の認識を踏まえて、法務省として、ないと言われていた、確認できないと言われていたファイルが出てきたこと、そのものについてどういう認識を法務省としてはしているのか、お答えいただきたいと思います。
○柳田説明員
お答え申し上げます。
今回の改正案は、裁判に必要な証拠をより集めやすくするという見地から、文書提出義務の対象となる文書を、現行法で認められている文書だけではなくて秘密等が記載されている文書等を除く文書一般にまで拡大をするという趣旨のものでございます。
それでお尋ねの点でございますけれども、これは、文書提出命令を発するためには、文書が存在をしているということが必要とされておるわけでございまして、この点につきましては今回の改正の前後を通じて変わらないわけでございますので、文書提出命令を発するためには文書の存在の立証が必要であるということになろうかと思っております。
○宇佐美委員
今回のHIVの訴訟において、国が被告になっている裁判もございます。その際には、厚生省と法務省が綿密な御議論等をした上で、つい先日も、非常に失笑を買った答弁書が出てきたわけであります。厚生大臣もその日の夜に遺憾の意を表明しているわけでありますけれども、法務省として、それでは、今回、ファイルがなかった、しかしながらあったと厚生省が後から言うわけであります。それについてどういうような感情を持ったのか、法務省としてお答えいただきたいと思います。
○柳田説明員
民事訴訟法を所管する立場といたしましては、先ほどお答え申し上げたようなことで、文書の存在についての立証がございませんと民事訴訟法の手続には乗ってこないということでございます。
○宇佐美委員
まあ、お役所としてそれ以上答えることはできないのでしょう。時があれば大臣にもお尋ねをしたいと思っておりますけれども……。
今回、民事訴訟法の改正において、法制審では五年半にわたって議論がされてきたと聞いております。
その中で、つい十二月になって、先ほど申し上げた二百二十条四号のロに関するような、公務員の文書提出義務から、該当から外すのだというような具体的な内容が出てきたのだ。これを通さなければ民事訴訟法の改正そのものが流されるといって、法務省から審議会の場で委員に対して圧力が加えられたと言っている委員の方もおります。それが事実かどうかは別にして、そのような疑いがされてもいいような、私から見ても突然出てきた内容でもあります。
今回の話で、情報公開法の進展に非常に心配をしているわけですけれども、行革委員会に対しても法務省は確認した、この内容でいいんだよということを確認したと我々党の部会で御説明をいただいたわけですけれども、行革委員会に対してお尋ねをしたとき、それがいつかはわからないというお答えであります。
法務省としていつ行革委員会に対してそういうような要望というか確認をしたのか、法務省の方からお答えいただきたいと思います。
○柳田説明員
今回の法律案は、政府提出法案として提出させていただいたわけでございますので、いわゆる法令協議ということで、関係する省庁に協議をさせていただいたということでございます。
○宇佐美委員
時間が参りましたので、まだまだ消化不良なんですけれども、つまり、行革委員会に対してやったのではなくて、それの所管する、まあ場所としては総理府かもしくは非常に関係の深いということで総務庁だったのだと思いますけれども、本当に十二分な確認がされたかどうか甚だ疑問でございます。
今回、民事訴訟法において、民に対しては裁判所の方でインカメラ、いわゆるこれは出すべきか出さないべきかということを判断する項目が入っているわけであります。官に対してだけ、官が判断したら出さなくていいというのは、民事訴訟法上、民事裁判におきましては一当事者、日本では行政裁判がドイツのようにないわけですから一当事者であるにもかかわらず、そこで不公平、不公正、差別が行われていると私は認識しております。今回、ほかの委員会、法務委員会の方で議論がされるかと思いますけれども、与野党挙げてこの点について、官と民との関係を含めて立法府としての役割を十二分に果たすよう考えていきたいと思っております。その旨、法務省としてもしっかり受けとめていただきたいと思います。以上で終わります。