2「科学技術研究開発の評価基準を明確にせよ」2004/2/26 11:30〜12:30 衆院内閣委にて

○宇佐美委員
 続きまして、茂木大臣、研究評価の基準について、先ほどどなたかからの御質問もありました。
 今回の所信表明演説の中でも、この研究評価について優先順位づけをやったということでございますけれども、その基準について、本当に聡明な茂木大臣ですから、誰でもわかるようなガイドラインがちゃんとつくられているんだと思うんですね。そのことをまず端的に御説明ください。

○茂木国務大臣
 まず、国家的に重要な研究開発、これは十六年度の場合、五つの大きなプロジェクトについて評価を行っているわけであります。ゲノムネットワーク、 南極観測、先端分析計量機器、対がん十カ年戦略、そして、アルマ計画といいまして 電波望遠鏡、これについて行ったわけでありますけれども、こういった国家的に重要 な研究開発の評価が五点ございまして、一つが科学技術上の意義、二つ目が社会経済上の意義、三つ目が国際関係上の意義、四つ目が計画の妥当性、五つ目が成果、運営、達成度、この五項目を基準として評価を行っております。

○宇佐美委員
 今五点言われた基準の中で、いわゆる計画の妥当性ということから恐 らく、昨年末議論になりましたノーベル賞をとられた小柴先生のニュートリノ実験計画についてCランクという評価をされたんだと思いますけれども、今お伺いしていて も、それ以外の評価基準からすれば、国家的な科学技術としての重要性という意味でも、もともとC評価ということ自体、非常に問題があったんではないかと 私は認識しているんです。

 その点について、計画全体の見直しなしの前倒しはおかしいということでC評価をつけたというふうに聞いておりますけれども、ほかの点からすれば、SランクでもAランクでもいいぐらいの内容だと私は理解しているんですけれども、茂木大臣はいかがですか。

○茂木国務大臣
 S、A、B、Cの評価ですね。SだからよくてCだから必要のないプロジェクトということではなくて、それぞれの施策を進める上でどういう留意点があるかとか、どういう改善点があるか、こういったことも含めて評価をさせていただきまして、このニュートリノの場合、御案内のとおり、一期計画、二期計画ありまし て、この二期計画の一部に含まれているものを前倒しをする、しかし、計画全体の見 直しが行われていない、それだったら計画全体の見直しというのがまず大前提になる んじゃないでしょうか、こういう観点からCの評価をさせていただいた。ただ、これに基づいて文部科学省の方も計画の見直しをしていただいた、こういう経緯でありま す。

○宇佐美委員
 だとすると、評価をつけてから計画を見直しということでございます けれども、Cの格付をやったのが、たしか十六件あると理解しておりますけれども、 ほかの計画についても、計画の見直しなどによってその評価が変わったり、もしく は、計画そのものを変えた例というのはあるんですか。

○茂木国務大臣
 ニュートリノの方も評価は変えておりません。評価におきまして、 留意点等を指摘させていただいているという形でありまして、Sがついたもの、Aが ついたもの、B、Cと、それぞれにつきまして、どういう観点から評価をさせていただいたか、また進める上での施策の留意点はどういうことか、こういうことにつきま しては、個別に、丁寧に説明をさせていただいております。

○宇佐美委員
 茂木大臣、私が質問をしたのは、ニュートリノ計画以外でも、その指摘をされた留意点によって今般までに計画変更があったものがありますかということ なんですけれども、大臣以外でもお答えになれる方がいらっしゃいましたらお願いを したいと思います。

○茂木国務大臣
 ニュートリノの場合は、大きな計画の中の一部を前倒しする、その場合は大きな計画の見直しなりが必要ではないですか、こういう指摘をさせていただ いて、それをやっていただいたということでありまして、個別の施策は必ずしも大き な計画に基づいてやっているものではないものもありますから、そういった意味では、留意点につきましては私は改善が今進んでいると思っておりますが、ニュートリノと同じ位置づけではないと思います。

○宇佐美委員
 私も、大学時代は理工学部の機械工学科で人工心臓を、当時少なくとも世界で最先端の先生のもとで研究をさせていただいた中で、本当に評価が一体どう なっているんだろうかというのを現場にいて感じていた者でございますので、こう いった意味でも、格付をされたら、普通に考えたらやはりSの方がいいよねと考えるのが私は常識だと思いますし、財務省もこの格付を参考に予算措置を行うとどこかで 発言をしているんだと思うんですね。
 そのときに、やはり私は、評価そのものについて再検討を、ニュートリノ計画だけではないですけれども、いま一度、今後ぜひ検討 していただきたいと思います。

  そして、次に行きます。科学技術のビジョンというのは非常に重要なんだと思いますし、九〇年代、アメリカが不景気どん底の中で、クリントン大統領が三つの重点政策、IT、航空宇宙、バイオを、はっきりと打ち出したことによって、そこにニュービジネスを求めた人たち、そしてそれに対しての投資というものが非常に集中して いったのは、アメリカ滞在の長い茂木大臣だったら御存じのとおりだと思います。
 そういった中で、私だったら、例えば今、日本の中で、航空宇宙、ナノテクノロ ジー、そして音声認識、こんなような三つを最重点政策として世に大きく発言、発信をさせていただいて、そこにどんどん技術者、そして投資家たちが集まるようなことを考えていくわけでございますけれども、この小泉総理になってから、どこをこれから日本が産業として育成していくかというのがなかなか見えない。
 所信表明の中で茂木大臣は四つ挙げられているわけでございますけれども、いま一度その点について大きく発言をしていただいて、うちも大田区でございますから、中小零細が苦しんでいる。しかし、少しでも元気を持とうとしている企業は、どこに行けばいいのか今わからなくなっているんですね。そんな意味も含めて、ぜひ大臣の答弁をお願いします。

○茂木国務大臣
 宇佐美委員もアメリカの産業政策に大変詳しいわけでありますが、 先ほど大畠委員の方からも御発言がございましたけれども、恐らくアメリカの産業政策、大体一九八〇年代、ヤング委員会ぐらいから始まりまして、その当時は分野というよりも施策が中心でありまして、一つは技術の移転、これは大学とか研究機関から民間に移転する話。
  それから二つ目に、ベンチャービジネス、ベンチャーキャピタル の推進。三つ目が、いわゆるコアコンピタンス、こういう呼び方をされておりました けれども、選択と集中を進めていく。こういう観点から一つの基盤をつくって、委員 御指摘のように、九〇年代に重点分野を決めて、また二〇〇〇年から、今度は、例えばナノテクノロジーについても国家的に重要な施策として位置づけて、二〇〇三年に 関連の法案もつくる、こういう流れで来ているわけであります。

  では、我が国におきまして、こういった科学技術政策の根幹がどうなるかということでありますけれども、これにつきましては、科学技術基本計画をつくりまして、この二期計画の中で、先日の所信でもお話し申し上げましたライフサイエンス、それから情報通信、環境、ナノテクノロジー・材料、この四つの分野を重点分野として取り上げているわけであります。
  宇佐美委員御指摘いただきました音声認識、これは、恐らく情報通信の分野では今後大変重要な技術になってくると私は考えております。また、ライフサイエンスの分 野も、ちょうど今まさにモードが変わっていく。ゲノムの解析から、これからはたん ぱくの機能であったり構造の解析、こういうところで、このライフサイエンスだけで はなくて、それが例えば機器であったりとか技術、こういったものにもかかわってく る、こういう大変重要な岐路でありまして、そういった四つの分野を中心にしなが ら、しっかりした研究開発体制、これを整えてまいりたいと考えております。

○宇佐美委員
 その中にはなかなか出てこないですが、宇宙の話なんですね。これは やはり私も技術者の端くれとして夢を非常に大きく持てる分野ということもあるわけですが、残念ながら衛星の失敗というのが相次いでいるわけでございます。
 この情報収集衛星そのものについて、これは官房長官になるかと思いますけれど も、今後の方針をきちっと示していただきたいと思います。

○福田国務大臣
 情報収集衛星というのは、危機管理ということもありますけれども、安全保障上の問題、また防災なんかに非常に有益だということ。また、海外で もって何か地震災害とか自然災害があったようなときにもそれでもって察知できる、 緊急の援助ができる、そういうようなために大いに活用していかなければいけないと いうふうに思っております。
 昨年の三月に一号機の打ち上げをいたしました。二機ございまして、同時に今地球を回っておるわけでございますけれども、これでもってかなりいろいろなことがわか るわけでございまして、大変有益なものだということをつくづく実感しているところ でございます。
 実は、昨年の十一月末に二号機が失敗してしまったんですよ。これはもう本当に残 念であると同時に、国費を、すべてむだというふうには言わないですけれども、しかし大変な損害をこうむった、こういうことでございまして、このことについて今原因 究明を徹底的に行っている最中でございますが、その原因が明らかになり、そして今 後打ち上げることの安全性というか、確度が高いという段階になれば次の衛星を打ち 上げたい。これはなるべく早くというふうに考えております。できれば今年というふうに思いたいところなんですけれども、そういうことになるかどうか。  いずれにしても、この有効活用ということ、特に安全保障上の問題にも最近は大変懸念があるといったようなことも踏まえまして、二号機打ち上げに全力を挙げてまいりたいと思っております。

○宇佐美委員
 十一月末の失敗は本当に大きな損害を国民に与えているわけでござい ます。とはいえ、先ほど申し上げたように、私の考える重要政策の中でもやはり航空 と宇宙というのは重要でございますので、引き続きやっていただきたいというのが私の思いではあるんです。 しかしながら、例えば、NASAが失敗したときには、すぐに予算の削減というの が出てくるわけでございますね。それを阻止するために、NASAは、予算削減され た後、一生懸命、各議院とか委員会で説明して回るんですよ、もう御存じのとおりだと思いますけれども。そういった状況が、衛星失敗の後、同僚議員にも尋ねてみても、こういう内容で失敗して、これからこうしたいんだ、こういう解決策を出すんだ ということを十二分に説明ができているかどうか、非常に疑問に思っているところな んです。
 今後、茂木大臣にもその点についてもぜひ御考慮をいただきながら、夢のある航空宇宙技術分野をさらに育てていくためにも、議会、そして国民の皆さんへの十二分な 説明を求めたいと思いますが、いかがでしょうか。

○茂木国務大臣
 官房長官の方から答弁させていただきましたように、今原因の徹底究明を行っている段階でありまして、この原因究明ができて、今後の方針が固まった 段階では、当然、関係の皆さんに十分な御説明をする必要がある、こんなふうに考えておりまして、文部科学省を中心にしながら、連携をしっかりとってこの問題に対応 していきたいと思っております。

○宇佐美委員
 ぜひよろしくお願いします。

つづき「政府のIT政策にもの申す!」